20年前にリリースされた、HYDEさんの1stアルバム「ROENTGEN」のツアーが行われた今年、元々以前から好きな作品でよく聴いていたけれど、自然とこの作品に向き合う機会が多くなりました。
ご本人の新規のインタビューからはじまり、ライブ会場やインスタライブ、配信等で演奏を聴いたり、個人的には歌詞を翻訳してみたり…そしてツアーでは次なるROENTGENⅡへ向けて、新曲も4曲発表されました。
まだROENTGENⅡがどのような方向性の作品になるのか分からなかった頃に、新曲NOSTALGICがラジオで初放送となった日の緊張感やツイッターのTLの盛り上がりを、今でも新鮮な感覚で覚えています。
初めてNOSTALGICを聴いたとき、20年前から変化した歌声やどこかHYDEさんのパーソナルな部分(ふるさとの情景など)を感じさせる楽曲に、漠然と「ROENTGENの世界が開かれた…!」というイメージを感じました。そこで初めて、私は「ROENTGEN」というアルバムを、一つ一つ丁寧に箱に詰められたHYDEさんの脳内の情景をそっと外から覗き込んで眺めるようなイメージで捉えていたのだと気付きました。
ここでふと思い出されたのが、芸術家、ジョセフ・コーネルの箱の作品群です。(この写真はDIC川村記念美術館が送料だけで希望者に配布するという神対応企画でいただいたコーネル展の講演会記録の冊子)
数年前にDIC川村記念美術館へヴォルス展を観に行った際、初めてまともに観たいくつかのコーネルの作品は、箱の中にコーネルの写真や小物のコレクションが詰められ、小さな箱に独自の世界を形成していました。それは絵画とはまた違う、どこか孤高で不思議な魅力をもった空間に感じられました。スノードームやレジンのアクセサリーなんかもそうですが、閉じ込められた向こう側の空間というのは、なんだかときめきを増強させる要素があるように思います。
そんなことを思っていた矢先、美術の趣味を通して仲良くしていただいている方から、過去に開催された箱の作品(ボックスアート)ばかりを集めた展覧会、BOX ART展の図録をいただきました。
箱に何かを詰める形式の作品は、コーネルくらいしか知らなかったのですが、ここで多くの芸術家のボックスアートへの様々なアプローチや、そもそも私たちにとって「ボックス」とはどういった意味を持つのか、という概念的な部分を知ることができました。その中では、棺桶もいわゆるボックスとして捉えることができるものだということが書かれていて、ROENTGENの棺桶型シングルが真っ先に思い浮かんだ私は、あながち自分の捉えかたは間違いではないのではないか?と思ったり…。(ご本人は単なるホラー的なアイコンとして棺桶にしただけで、そんなに深い意味はないと思いますが。笑)
そして、偶然にもこの展覧会が開かれていたのは2001年から2002年。ROENTGENが制作、リリースされたのも同じ頃です。約20年前に世に放たれたものが、こうして私の中で繋がっていくというのもなんだか不思議な感覚でした。
そうしてまたしばらく経ったある日、HYDEさんのファンで、長く仲良くしていただいてるお友だちのShinjuさんという方からSHALLOW SLEEPのジャケットを再現した作品が届きました。なんと偶然にも箱に入った状態のSHALLOW SLEEPです。
最初に届いたときに箱から出して撮った写真です。これ以来もったいなくて出せていません…
ROENTGENからボックスアートという作品の形に関心を寄せたタイミングで、箱に入ったROENTGENにまつわる作品が手元に届くとは、少し大げさかもしれませんが、輪をかけて不思議な巡り合わせだなと思ってしまいました。
ちなみにShinjuさんはこのような作品を作られています。
もはや祈りを捧げるためのお部屋のような神聖さです。(ツイートリンクしても大丈夫とのことだったのでご紹介いたします。)Hydeさんお誕生日おめでとうございます🎉いつも素晴らしい芸術の数々をありがとうございます🌈🥀
— Shinju (@Shinju888) 2021年1月28日
色んな気持ちを込めて、Hydeさんの羽にHydeさんを表現した布の花々を咲かせました💐
どうかHydeさんにとって素晴らしい1年になりますように🕯✨#HYDEBIRTHDAY #HYDE誕生祭@HydeOfficial_ pic.twitter.com/TPu4D8d2z7
近い未来、「ROENTGENⅡ」がリリースされたときには、こんなふうに今までの作品含め、更に何か自分の中で改めて気づくことがあるかもしれないと思うと、一層手に取るのが楽しみです。
いまは、ツアーのパンフレットのストーリーのHYDEさんのように、閉ざされた世界から抜け出しはじめたROENTGENのイメージをじっくりと噛み締めたいと思います。